異色のインターンシップ

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開発の現場体験はとてもハード
でも、仕事の面白さが分かります

インターンシップ経験者[社員座談会]

サンリツオートメイションのインターンシップ制度は、少々、毛色が変わっている。よくあるような、カリキュラムを組んだ予定調和の研修や、雑用を手伝いながらの職場体験とは全く無縁。参加者には実際の開発テーマが与えられ、現場チームの一員として業務にあたる。しかも、1週間から2週間、時として4週間と期間も長い。
学生にとってはかなりハードな内容だが、社会に出てからの仕事の厳しさと面白さとを、肌で感じられるチャンスでもある。インターンシップでサンリツの仕事を体験し、そのまま就職を決めた社員も多い。そうした若手社員9人が、異色のインターンシップについて語る。

[出席者]

  • 佐藤 大(鶴岡高専卒、2013年入社)
  • 中井 勇哉(久留米高専卒、2014年入社)
  • 西岡 壮大(鳥羽商船高専卒、2015年入社)
  • 松岡 晃佑(豊田高専卒、2015年入社)
  • 落合 渉(産業技術高専卒、2016年入社)
  • 大場 雄基(茨城高専卒、2017年入社)
  • 工藤 海人(大分高専卒、2018年入社)
  • 佐藤 蕗子(鶴岡高専卒、2018年入社)
  • 大森 智貴(東京高専卒、2018年入社)

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―― 社長からひと言

1

“ 希望に合う会社は、
意外に少ないんです ”

── 学生にとって、インターンシップに参加する動機のひとつは、意中の会社が自分に合うかどうかを見極めること。つまり、「会社選び」が大きな目的になっている。一方で、サンリツのインターンシップは、どこでなら自分のやりたい仕事ができるのか、「職選び」を動機とする参加者が大半だ。

落合 落合
学生時代にNHKのロボットコンテストに出場していたんですけど、そこで初めて“組込コンピュータ”の業界があることを知りました。それで、就職にあたっては組み込みの開発をやりたいなと思い、それができそうな会社を探して、サンリツのインターンシップに行き着いたんです。ニッチな業界にもかかわらず、半導体の製造装置とか、有料道路の自動料金収受システムなど扱う事業領域が幅広いのと、ハードとソフトの両方を手掛けているので、よさそうだなと。
工藤 工藤
私も学生時代はロボット研究部に所属していたんですが、サンリツがレスキューロボットコンテストの技術サポートをしているためか、部活では名前が知られた会社だったんですね。先輩たちにサンリツのインターンシップ経験者もいましたし、技術的な勉強をしたくて顧問の先生に相談したら、薦めてくださった会社の中にサンリツがありました。
松岡 松岡
同じくロボット研究部にいたので、ハードがからんだソフト開発に興味がありました。でも、電気科には電力会社などからのインターンシップ募集が多くて、希望に合うのはサンリツくらいでした。
佐藤(大) 佐藤
(大)
私の場合は、学校に憧れの先輩がいまして、その人がサンリツのインターンシップに参加していたんですね。それで印象が残っていて、サンリツから募集が来た際に、期間が4週間もあって、テーマもかなりレベルが高かったんですが、単位がたくさんもらえるし、腕試しにもなるからいいや、と即決でした。
大森 大森
インターンシップの募集は50社くらいあったんです。それで、各社の資本構成を全部調べました。親会社があって、その系列会社ですと、どうしても親会社の下請け的な仕事が多くなるので、それは避けたいなと。独立した開発業務をやりたくて、そういう目で探していってサンリツを見つけました。
大場 大場
私の学校にも100社くらい来ていました。カメラが趣味なので、カメラメーカーも考えたんですが、なかなか競争が激しくて。そんな時に、「カメラの評価」というサンリツのテーマが目に留まり、行ってみようと思いました。
西岡 西岡
学校ではソフトウェアの勉強をしていたので、インターンシップはソフトウェア会社で経験を積みたいと思っていたんですが、そもそも、ソフトウェアでインターンシップを募集する会社が少なくて……。その中で、サンリツの募集要項は、研修内容が具体的でピンと来たのと、続けて交通費・宿泊費支給と書いてあって、これは行くしかないと。(笑)
一同
一同
(激しく同意しながら)これ助かるよねぇ。出ない会社が多いので、地方の学生は、なかなかインターンシップに参加しにくいんです。なのに、費用が会社持ちで東京へ行けて、勉強までできるんだから。(笑)

2

“ 仕事には用意された答えがない。
そこが面白い ”

── こうして参加したインターンシップ。実際の研修が始まってみると、学生の勉強と、実社会の仕事とがいかに違うのか、身をもって知ることになる。

工藤 工藤
参加したのは、高専4年生の時でしたけど、その頃には、プログラミングはガッチリやれているつもりでした。でもそれって、先生方が答えを準備してくれているものを作っていただけなんですね。インターンシップで与えられたテーマは、「カメラの色再現性の評価用アプリ」を作ることだったんですが、その開発にあらかじめ用意された答えはないんです。
使える数式を自分で調べて、プログラムの組み合わせを考え、動かしてみて、ダメだったらまた作り直して調整する。最終的には、どこまで精度を上げられるかなんですが、答えがないことが、とても面白かったです。2日で完成させるつもりが、試行錯誤でさらに2日かかっちゃいましたが。
落合 落合
資料に対する考え方も、ぜんぜん違いましたよね。学生時代もそれなりに開発をやっていましたが、資料は、せいぜい簡単な図面やメモを残す程度。でも、インターンシップでは、まずソフトの仕様書を書き、次にそのソフトを使用する人に向けた説明書を作りました。それも、技術者ではないユーザーに分かるように書く。
学生の開発は、自分たちが分かればそれでいいけど、仕事としての開発は、人に伝えるための図書が非常に重要なんだということに気付かされました。
佐藤(蕗) 佐藤
(蕗)
私のテーマは、「カメラの不具合を検査するツール」を作ることでしたけど、映像を画素レベルでチェックするため、光が入らないような暗室のセッティングに一番時間がかかりました。(笑) 何かを定量的に測るには、環境作りが最も大事なんだと、その時に学びました。
中井 中井
考えの深さが違うなと思いました。「機器の状態を監視するソフト」を作ったんですが、機器の状態を表示させればいいだけなので、あまり難しいとは思わなかったんですね。でも、最後に開かれる全体報告会の際に、「この部分は、なぜこういう表示にしたの?」と、理由を聞く質問が社内からいくつも上がって、「それならば、こうした方がいいね」というアドバイスもたくさんもらえる。仕事でモノ作りする際の考えの深さが、学生とは全く違っていました。

3

“ 指導役だって、緊張しているんです ”

── インターンシップは、テーマ設定から指導の詳細まで、若手社員に任されている。自分の実際の仕事に必要なテーマを設定できるし、自身の勉強にもなるからだ。実は、今回の出席者9人のうち4人は、やはり出席者である佐藤大の指導を受けた間柄でもある。最後の全体報告会では、参加者本人だけでなく、指導役にも社内から厳しい質問が飛ぶ。

佐藤(大) 佐藤
(大)
指導役としては、毎回、緊張して報告会に参加してます。何も質問が来なければいいなと思いながら。(笑) 学生の発表内容によっては、指導が悪いんじゃないかと責められることもよくありますから。
指導役として心掛けているのは、仕事を単なる作業にさせないということですね。なぜ、こういうやり方をするのか、技術的、論理的な納得感を持って仕事をしてほしい。
いま自分が行っている作業の意味がよく分かっていなかったり、使っているハードが内部でどんな動きをしているのか理解しないまま仕事をしていくと、いずれ出てくる“課題”や“問題”を自分で解決できませんから。それは、技術者として非常によくない状態ですよね。会社って、実践的な勉強ができる場ですから、学生にはそこに気付いてほしいです。
大場 大場
私は、佐藤大さんの指導を受けたんですけど、事前に出された課題で苦手な分野があって、メールで相談したりしました。それで、インターンシップの初日は、数学の勉強から始まりました。行列とか三角関数とか、テーマである「画像のブレの評価」に使う計算を勉強させられて、三角関数なんて、ホントに仕事で使うんだと思いました。(笑)
大森 大森
最後の報告会には、どんな質問が来ても大丈夫なように、自分としては完璧に準備して臨んだんです。発表練習も5~6回やりましたね。でも、ほとんど質問がなくて、拍子抜け。(笑) 社長からは、独自のアイデア、自分のやり方で仕事を進めたことがよかった、と評価されました。
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