製品試験の世界-2

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自社製品を超えて目指すのは
システム全体の「信頼性」確保

多くのメーカーにとって、評価試験は、自社製品の信頼性を高めるために行われるもの。想定した水準に達すれば、そこで仕事は完結する。しかし、数多くのハードとソフトとが組み合わされ、生産設備や社会インフラを構築するのが産業用組込コンピュータの世界だ。自社製品の信頼性だけでは、システム全体の信頼性を確保できない。システム全体のために何ができるのか?自社製品の向こうにまで視線を伸ばした評価試験が、今日も続く。

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雨にも風にも負けない「監視カメラ」に

サンリツオートメイションが手掛ける製品のうち、最も厳しい環境下で稼働させるもののひとつが、監視カメラだろう。

見晴らしのいい高所に設置されることが多い屋外用カメラであれば、直射日光や寒暖差、雨、風、雪、雷、時には雹に耐えて24時間365日、撮影機能も、首振り機能も、正常に動き続けなければならない。特に異常気象が続く昨今、評価試験による耐久性の検証は、重要度を増すばかりだ。

予想を上回る強さの台風で、千葉県のゴルフ練習場でネットが倒壊したことは、まだ記憶に新しいが、風対策の評価試験は、実施にかなりの手間がかかる。大きな設備が必要で、社内では行えないからだ。

風速60m/sの試験がやれる施設は、なかなか見つからない

開発一部のスペシャリストで、機構設計を担当する川勝民雄によれば、試験ができる場所探しから始めるという。

「監視カメラの世界では一般的に、風速40m/sまでは正常に動作し、60m/sで壊れない、という基準がコンセンサスになっています。“壊れない”というのは、動作は止まっても、リスタートすれば正常に動くという意味ですね。
でも、風速60m/sの試験がやれる施設は、なかなか見つからない。探し回った結果、協力してもらえたのが自動車メーカー系列の風洞実験設備でした。1/4スケールにしたクルマのモックアップで、空気抵抗などを評価するための設備です。
大きなファンの前にカメラをセットして、徐々に風速を上げながらカメラの向きを変え、あらゆる角度から検証します。向きによって、風から受ける圧力が違いますし、自然の風は風洞のように直線的ではありませんからね。さまざまに条件を変えて、一日がかりの試験です」

試験する項目は風だけではない。
耐熱性、耐寒性、防水性、耐雷性など、試験しなければならない項目は多い。温度試験は、やはり業界標準である‐20℃から45℃までの温度帯で評価が行われる。防塵・防水性能は、JIS規格のIP65の確認のために放水して確認をしていたが、防水性の向上を要求されることが多く、IP67(水槽に30分沈める)のテストも行っている。
耐雷性能も、やはり社外の施設を借り、定められた手順に従って行っている。

屋上での耐久テスト

出社すると様子を見に行ってました。相当に無茶な試験でした

いくつもの評価試験を行うため、試験にはかなりの時間がかかると、開発二部のスペシャリストで、カメラのハードを担当する桑原 徹は言う。

「短い期間で済む製品もありますが、例えば温度試験だけで3日間くらいは必要になる。普通にやって、全部で1カ月はかかりますね。
ウチのカメラは、水平方向に360度、上下方向に90度動かせるのですが、期間を決めずに連続動作試験をしたことがあります。会社の屋上に設置して、グルグルと首を振らせながら、ずっと撮影をし続けました。
毎朝、出社すると様子を見に行ってました。それを2年以上続けました。相当に無茶な試験でした」

こうして各項目の性能を向上させていくが、それだけでは終わらない。耐久性を高めることで、別の問題が生じることがあるからだ。川勝が語る。

「一番大きいのが熱対策ですね。防塵・防水設計で密閉性を高めるほど、当然、内部からの放熱が厳しくなります。ですから、内部の制御基板には、ヒートシンクなどを組み込んで温度上昇を抑えています。ウチは、屋外に置く制御盤なども手掛けてきていますので、密閉構造での熱対策には、長年のノウハウを持っています。それらを応用して解決しています」

評価試験を繰り返しながら、最終的に製品が最もバランスよく、最大の性能を発揮できるところへ落とし込む。そこが開発の面白さでもある。

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