インテグレートで価値を創る

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新しい技術を取り込み、
新しい価値を
「空港監視カメラ」は
チームで育てる

ユーザーの「課題」「困りごと」を解決するためにシステムを作る。ハードとソフトとをどう組み合わせるかが、腕の見せどころだ。必要であれば、未経験の新しい技術でも、迷うことなく取り込んでいく。大切なのは、より優れた解決策を頭に描ける想像力と、1つ1つのハードとソフトをインテグレート(統合)していく力。ユーザーにとっての「使いやすさ」を追求する姿勢が、自らの製品を進化させていく。

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航空機の動きを見張る30台のカメラ

かん高いエンジン音を響かせ、ひっきりなしに離発着する大型旅客機。その間隙を縫うようにして飛来する小型のビジネスジェット。時おり、海上保安庁の哨戒機が飛び立っていく──日本の航空交通の要衝である羽田空港は、世界で最も混み合う空港の1つだ。

この膨大な交通量をさばくために、羽田空港にはさまざまな運用支援システムが導入されており、サンリツオートメイションの空港監視カメラも、その一翼を担っている。

2020年現在、第1ターミナルを中心に、設置されているサンリツのカメラは約30台。すべて、航空機の動きを監視するためのカメラだ。目的に合わせて、3種類の使われ方をしている。
システム開発部の主任技師で、空港監視カメラ担当として全国の空港を飛び回る飯田継太が説明する。

「カメラの機種はすべて同じものですが、設置場所とシステム構成で、3種類の機能があります。
まず、管制塔の高いところから、空港の全景を監視するカメラ。これは、滑走路に進入してくる航空機や、離陸していく航空機、あるいは誘導路を移動する航空機を検知し、自動的に追尾していくカメラです。主に空港の上空を見張るためのものですね。
2つ目が、人がモニターで見て、エプロン(駐機場)の状態を確認するためのもの。いわば普通の監視カメラです。
そして、3つ目が、オープンスポットへの航空機の出入りを把握し、データ化するためのカメラです」

羽田空港の場合、ターミナルビルからボーディングブリッジ(搭乗橋)を通って直接機内に乗り込む搭乗口と、バスに乗って機体のすぐ側まで行き、タラップを上がって機内に入る搭乗口とがある。
後者のタイプの駐機場がオープンスポットと呼ばれ、ボーディングブリッジ付きの搭乗口が慢性的に足りない羽田では、敷地内に数多く設定されている。

「いま、どこのオープンスポットが使用中で、どこが空いているのか、人が目で見て管理するのは非常に難しいです。運用管理棟からは、死角になって見えないスポットもありますし。

そこで、スポットを監視するカメラの映像をAIが識別、航空機のイン・アウトを自動検知してデータ化し、スポット管理サーバに通知するようになっています。カメラも含めて、データをサーバへ送るまでのシステムを、サンリツで供給しています」

「自動追尾機能には自信があります」

実際のカメラは、管制塔の上、ターミナルビルや格納庫の屋根、エプロンにある高い照明ポールの先端など、監視範囲になるべく死角が出ないよう、空港内の高い場所に広く点在している。それらが収集する映像やデータは、空港の管制保安部に集約され、航空管制運航情報官(以下、運航情報官)の仕事に活用される。

航空管制官が、航空機の離発着、飛行中の航空路や高度など、航空機に指示を出すことが任務なのに対し、運航情報官は、航空機の運航情報を管理し、飛行に必要な情報を航空機に送り、飛行場を管理することが任務。その仕事は、非常に幅広く、多岐にわたる。スポットで隣り合う機体の主翼どうしが接触しないよう、航空機の大きさを確認しながら、スポットを割り振るのも、運航情報官の仕事だ。

だから、受注した仕様書通りの機能だけでは、運航情報官の仕事を追いきれないと飯田は言う。

現場に通ってはじめて見えてくるニーズもあります 現場に通ってはじめて見えてくるニーズもあります

「全国の空港を回っていると、同じ監視カメラのシステムでも、空港によって使われ方が違うことがよくあります。空港の環境や運用による違いもある。例えば、カメラの自動追尾機能で捉えた航空機は、モニターの中央に枠で囲まれて表示される仕様なのですが、枠は必要という空港と、ない方が使いやすいという空港とがある。どちらにも理由があるんです。
受注の際に示された仕様書通りの機能・性能があれば、ビジネスとしてはOKです。でも、空港の現場に通って、細かく話を聞いてみて、はじめて見えてくるニーズもある。サンリツはカメラからシステムまで、全部自社で手掛けていますから、そうした現場のニーズをすくい上げて、後々の機能アップを提案していけるのが強みです」

実は、飯田が「よそには負けない」と自信を見せる航空機の自動追尾機能も、運航情報官のニーズをすくい上げながら、技術的な改良を重ね、現在の性能にたどり着いたものだ。

羽田空港の離着陸エリアには、滑走路のほかに何本もの誘導路が走り、航空機が2機、3機とすれ違う光景が一日中繰り返される。その1機ずつを識別し、他の機体に重なって一時隠れた後も、引き続き追尾を続けられる機能は、かなり技術的なハードルが高い。

サンリツの空港監視カメラは、AIによる画像認識技術を搭載し、機械学習による改良を続けることで、それを可能にした。しかし、そこに至るまでには、4年間におよぶ苦闘の連続があった。

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